照れまん君の歳時記 ムカデ ヴィヴァルディー「夏」

 
                          「夏」
 
           5月1日。 私の部屋にムカデが出た。
           初百足虫の日。 他の部屋はすでに4月初め頃に出ていたらしい。 
           今年は早すぎる。 
           またいろんな虫が出る季節になってきたが、百足虫だけは勘弁して欲しい。
 
           5~6年前の話だが、保育園に百足が出た。 保母さんと子供が大騒ぎ。 
           なぜか、私の所まで走って来て、私に捕まえてくれと言う。
           何で病人に頼むんや。 ムカデとヘビはだけは勘弁してくれ!と断り、
          大きな百足用のピンセットを貸してやった。
           これで捕まえて、鶏小屋に投げてやれば鶏が喜ぶよと教えてやると、
          「ウソー!」と言っていたが、走って帰って行った。 
           まだ半殺しで動いてる百足をピンセットで摑み、鶏小屋の前に持って行った。 
          園児もゾロゾロとあとを付いて見に来た。
           入り口を開け、パッと百足を投げると、鶏が走り寄って、パクッと銜えると、
          他の鶏があとを追いかけて奪おうとする。 
           結局最初に捕まえた鶏が、美味しそうに食べる。
 
           それを見ていた園児等は呆気に取られ、目が点になっている。
           「何でニワトリはムカデに刺されんのん?」
           「そりゃー、嘴が固いけえよねえ!」
           「ほんでも、食べたら口の中を刺されるんじゃないん?」
           「知らんようねえ、ニワトリさんに聞いてみんさい?」と、園児と保母の会話。
 
           虫の出てくる季節は嫌だが仕方がない。 
           音楽の中にも、虫の出て来る変わった曲??いやいや名曲がある。
                    
          ♪      ☆    ♪    ☆    ♪     ☆     ♪      ☆      ♪
 
                   それは、≪ヴィヴァルディーの「四季」より゜夏゜≫です。
 
           アントニオ・ヴィヴァルディー作曲
           和声と創意の試みより、「四季」Op 8 より 第2 『夏』
                            
 
          ★第一楽章
 
         ① うだるような暑さ、ギラギラした太陽。 汗がジトッジトッと噴き出してくる。 
           最初の シ♭→ラ、とゆっくり半音下がるところ。 ここが汗がジトッジトッと、
           にじみ出て滴るところ。 次の上行系がうだるような暑さで、人や家畜がダラ―ッと
           しているところ。 
           これが第一楽章のテーマになっている。 
           学者によっては、この半音下がる所は牧童の涙だと言う人がいる。
           バッハの受難曲などに、イエスの涙は半音階でゆっくり下がるように書かれて
           いる為であるが、ここではちと考えすぎ。 
           汗が落ちていると聴いたほうが、よりリアルで面白い。
 
         ② 続いて、カッコーが鳴き始める。 ソロVnの16分音符がそれ。 
           そしてまた、最初のテーマに戻る。
         ③ つづいて山鳩がポッポーポッポーとゆったりと鳴き、続いて五色ヒワ
           ピヨピヨ・ピヨピヨせわしく鳴く。 Vnのtr。 ちょっと解りにくいがよく聴くと、
           なるほどと思うはず。
         ④ そよ風が吹いて来るが、突然北の風が吹きだし、雨になる。 
           小さい風雨である。 またテーマに戻る。
         ⑤ そのあと、ゆったりとした長いVnソロが続くが、ここは羊飼いが、俺はなんと
           運の悪い男だ、びしょ濡れになるし、羊も濡れるし、今日は最低の日だと嘆いている。
           そしてもう一度さっきの小さな風雨の音形が現れて終わる。
 
          ★第二楽章
 
         ① 暑いので、昼寝をしようと横になるが、蠅や蚊が飛びまわり、うるさくて寝られない。
           独奏Vnが蠅や蚊が、ブゥ~~ン・ブゥ~~~~ンと、飛んでいるところらしい。 
           そう言われればそう聞こえないこともない。 伴奏は、タッタ・タッタ・ターンという
           音形だが、これは虫がガサ・ゴソ・ガサと這っているところ。
         ② そこに、雷が鳴る。 トットコトコトコトトコトコトコトコト――ン、という同じ音を
           16分音符で合奏が刻む所。 これが、ピカピカゴロゴロである。
           同じ事が四度繰り返される。
           羊飼いは、しょうがないなあ、これじゃあ寝られんし、疲れが取れないよと嘆いている。 
           それに、雷が鳴っているので、嵐が来そうだなと不安になる。
 
         ★第三楽章
 
          この楽章ははいきなり、夏の嵐で始まる。
          予感が的中し、雷鳴と稲妻に満ち溢れる。 ものすごい暴風雨になる!
          二楽章の雷の音がこの楽章のテーマに少し変化されて使われている。 
          最初の「ソ」の音1個が1オクターヴ高く、後の7つの音は1オクターヴ低く
          16分音符で演奏されている。 ソ↓ソソソ~ファ↓ソソソ~ミソソソ~と上の音が変化
          しているので、よけい嵐の強さが強調されている。
          やがて、アラレが降り出し、穀物や野菜の葉を容赦なく叩きつける。 
          何とも激しい夏の嵐。 そんな嵐のまま、三楽章は終る。
 
           実によく出来ている曲。 夏の暑さや季節感をこんなに上手に表現している曲を
          他に知らない。 
           今書いたことは、楽譜に小さなソネット(詩)が書かれていて、それをそのまま
          文章にしただけなので、私が書いた訳ではありません。
           この曲など、何も知らずに聴くとあまり良く解らない。 
           説明(詩)を聞くと成る程とよく理解できる。 
           それ故、標題音楽と言えばベートーヴェンの交響曲第6番「田園」以後ということに
          なっていて、ヴィヴァルディーは仲間に入れてもらえなかった。 
           しかし、1950年代以降、「四季」がバロックブームの火付け役になり、バロック音楽
          が再認識され、「四季」は標題音楽として認知されるようになった。 
           子供の練習曲と思われていた多くのバロックの曲たちが音楽芸術として、認められる
          ようになり、頻繁に演奏されるようになった。 とても嬉しい限りです。
           カッコーが鳴いたり、山鳩や五色ヒワが鳴いたり、嵐になったり、これは
          ベートーヴェンの 「田園」にもそっくりなところがありますよね。
 
           ヴィヴァルディーの「四季」は、1725年頃に作曲されたと思われる。 
           1728年頃、フランスのルイ15世がとってもこの曲を気に入り、何度も演奏を
          所望したと言う記録が残っているらしい。
 
           今、テレビで「喰いタン2」と言うドラマがあり、このテーマ曲に、ヴィヴァルディー
          の「四季」の゜春゜が使われている。 とっても清々しくて気持ちがいい曲。 
           この゜春゜と゜冬゜の第二楽章はしょっちゅう聴く機会があるが、゜夏゜はそれらに
          比べると少し聴く機会は少ないかも知れない。 
           しかしながら、とても面白くていい曲です。
           夏の暑さを音楽にするなど、実にユニークで独創性に富んでいて、素晴しい曲です。 
           10分ほどの短い曲なので、暑い夏にはお薦めです。 
           イタリアの「夏」で涼を感じるには最適です。
 
           【ヴィヴァルディー作曲・ヴァイオリン協奏曲集・和声法とインヴェンションの試み・
           より「四季」Op8、第1~第4番】
           その中より、第2番「夏」。
           是非もう一度、聴いてみて下さい。 面白いですよ。 
           余裕のある人は、「四季」全曲聴いてみて下さい。 もっと余裕のある人は、
          12曲ありますので、是非どうぞ。
 
            短歌集 「動物達の音楽学園」より
 
          百足さんタップの授業の靴を履く 履き終えた頃終わりのベルが   照れまん
 
 
         (離心円へのメールより 最近は、私へのメールというより、
              はじめっからブログに載っけてもらおうという魂胆が見える。)
 
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照れまん君の歳時記 ムカデ ヴィヴァルディー「夏」 への5件のフィードバック

  1. Pu'uwai より:

    こんばんは
    面白い解説、これは聞かなくっちゃ、あるかな、夏、なつっと I チューン を探す。
    ありました。 春はよく聞く、夏はやっぱり殆ど聞いてない。 解説があると ふう~ん、なるほど、なるほど。
    なんと雄弁家のおたまじゃくし、水の中で姦しくお喋りしてるんだ (照れまんさんがお喋りさせてるんだ) と思ったら、
    楽譜に詩が付いてるんですか?  それは演奏家がイメージ沸き易いようにですか? 
    それともお話が先でこういうソネットに基づいて作曲しましたよになるのでしょうか?
    音楽はよく分らないので、変なこと聞いてすみません。
     
    百足、きらいですか。 私も嫌いです。
    うちの猫が噛まれないように、大きな百足を箒で草むらによせたんですよ。
    なのに命令違反で、道路を横切って来たから慌てて箒でよせたら、勢い余って川の中に落ちてしまった。
    護岸工事で10mはありそうな垂直の壁の下の川に、登れるかと心配してたら、
    「百本も足があるからのぼれるさ。」 
    そうだ、百足はキャタピラ履いてるんだ。 タンク並じゃないか! そう思ったら一安心。

  2. のら より:

    照れまんさん こんばんは しばらくです。
    大阪ではムカデを見たことがありません。ずっと子供の頃にはいた記憶がありますけど・・・。
    足がいっぱいあるムカデ、ゲジゲジなどはちょっと気持が悪いです。
    だからといって足がぜんぜん無いヒルとかミミズもいただけませんが。
    しかし、生き物が生息しにくい環境は人間にとってもあまり好ましくないんですよね、きっと。
    家の前に置いてる鉢植えの花にどこからか蝶や蜂が飛んでくるので、まだましかと思うくらいです。
    ヴィバルディの「夏」を楽しんで聴きました。
    なるほど・・照れまんさんの解説を読みながらメロディやリズム、楽器の構成を思い浮かべると
    よく理解できました。 クラシック音楽にたいする興味も湧いてきます。
    ともすれば、正座して聴かなければならない錯覚に陥るんですよ、クラシック。
    そんなことないんですね。

  3. 照れまん より:

    Pu`uwai さん
    ヴィヴァルディの「夏」、聴いて下さってありがとうございます。 とっても嬉しいです。
    「春」「夏」「秋」「冬」には、それぞれソネット(詩)が付いていますが、それがかなりの量なのです。 一曲に付き、14行もの詩が書かれています。
    誰かの書いた詩に触発されて作曲したのかも解りませんが、あまりにも詩と曲とがぴったりしすぎているので、ヴィヴァルディ自身が書いたのではないかと言う説が一番有力です。 でも、はっきりとは解っていません。
    詩が先か、曲が先かも良く解っていませんが、自分が作詩したのであれば、こういう曲が書きたいという構想があって、詩を作り、そのあとで曲を作ったのではなかろうかと思われます。 そのくらい、詩と曲がぴったりと合っています。
    それから、「四季」と言う題名ですが、これはヴィヴァルディ自身が付けたのではなく、後の人達が勝手にそう呼ぶようになりました。 特にLPレコードが発売された時、「四季」とした為、この呼び方が定着してしまいました。
    ではでは、また時々お邪魔します。
     
       囀や窓を開ければヴィヴァルディ      照れまん 

  4. Pu'uwai より:

    照れまんさん
    よくわかりました。 ありがとう。
    ヴィヴァルディのこの四季という曲にソネットがついているのであって、
    曲というもの全てについているという訳ではないのですね。
     
    四季おりに季節はあれど夏がいい     プウバイ

  5. 照れまん より:

    のらさんへ
    ヴィヴァルディの「夏」。  聴いて下さって嬉しいです。
    けっこう面白いでしょう。
     

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