照れまん君の俳句歳時記 「桜鯛」

 
                      安宿とあなどるなかれ桜鯛     森田 峠
 
            田舎のひなびた旅館に投宿したのでしょうか。
            とても料金が安いので、料理などあまり期待していなかったのですね。
           そうしたら、ものすごく立派な桜鯛が一匹皿の上に乗っていた。
        
            旅館の女将や板前の心意気・気風(きっぷ)のよさが伝わってきます。
                         この旅館に泊まってよかったという、高揚感がよく出ています。
            とても素晴しい俳句ですね。
 
            私などは食が細いので、旅館の食事は多すぎて残してしまいます。
           半分の量でいいので、旅籠代を安くして欲しいと思う、貧乏性です。
           
 
            70センチの大物 桜鯛
 
                         この桜鯛は保育園が貰ったもの。
         
           「来てみんさい。ものすごい鯛が来たよー」と、保母さんがわたしを呼びに
           来てくれた。みんな、キャアキャア大騒ぎをしていた。
            驚くような大きな鯛。こんな大物は滅多に見ることが出来ない。
           すぐにカメラを取りに帰り、また出かけて行く。
 
            鯛を持って来てくれた漁師さんは、しょっちゅう保育園に差し入れをしてくれる。
           ヤズ(ハマチ)・太刀魚・鯵・鯖・蛸・平目・ハゲ(かわはぎ)。
            その他に、クリスマスにはクリスマスケーキの大きいのを二つも持って
           来てくれる。子供の日やお雛様、節分、七夕などの日にも必ずお菓子や
           ケーキを買って、持って来てくれる。
 
            この漁師さんのお孫さんが保育園に通っていて、それでおじいちゃんの
           漁師さんもしょっちゅう来ては、3時のお八つに、コーヒーを入れてもらって、
           飲んで帰っていた。
 
            このお爺ちゃんの口癖が、
           「今度鯛を釣ったら持って来ちゃるけえのう」でした。
            ところがとうとうお孫さんは卒園してしまったのです。
 
            そこで、いつものようにコーヒーを飲みに来たお爺ちゃんに、
           「あんたー、鯛を持ってくる持って来るってゆうても、とうとう持って来ん     
            かったじゃー。孫は、はあ卒園してしもうたよ!」
           と保母さん。
           そこで漁師さん。
           「よっしゃー。今度釣ったら絶対に持って来ちゃるけえのう!」
           となったのが、上の写真の鯛です。
 
            漁師のおじいちゃんが、自分でさばいて刺身にしてくれました。
           わたしの所にも、保母さんが1人前だけ届けてくれました。
 
            保育園の子供達
 
            桜鯛とは、なかなかいいネーミング。
            ただ、桜鯛といってもそういう種類の鯛がいるわけではなく、
           桜が咲くころに獲れる鯛を、こう呼んでいる。
            繁殖期に鮮やかな色になるそうです。
            婚姻色といい、魚類や両生類・爬虫類・鳥類などに見られるらしく、
           ホルモンの作用で体色が少し変化するようです。
            鯛の場合は、お腹の辺りが、少し赤みを帯びるそうです。
 
            俳句では、「桜鯛」は春の季語。
           桜鯛のほかに傍題として、「花見鯛」・「乗込鯛」(のっこみだい)・
           「姿見の鯛」・「烏賊鯛」 などがある。
            烏賊鯛(いかだい)と言うのは、烏賊を餌にして釣るので、
           こう呼ばれているそうです。
 
            スズキ目・スズキ亜目・タイ科・マダイ亜科・マダイ属  マダイ
 
            学名 : Pagraus major
                      英名  : Red seabream
 
                 ◆   ・・・   ▽   ・・・   ★   ・・・   〇   ・・・   ▼
 
            では、ここで桜鯛の俳句を二句 紹介してみます。
 
                 夢のまた夢に覺めけり櫻鯛      石 寒太
 
            夢というのは叶わないもの。
                       夢から覚めたら、テーブルの上に桜鯛が置かれていたのでしょうか。
            この桜鯛にも夢はあったろうに。
            竜宮の乙姫様になる夢。はたまた、鯨になる夢・・・。色んな夢があったろうに
           今は食べられようとしている。夢はかなったのだろうか?おそらく叶わなかった
           のだろうなあ。
           
                                この句は、豊臣秀吉の辞世の歌、
             「露と落ち露と消えにしわが身かな難波のことも夢のまた夢
           がベースになっているのでしょうか。
            あの天下を取った秀吉でさえ、人生は露と消える夢のようだと言って
           いるのです。ましてや、自分のような者には夢など叶うはずもない。
            
            俳人を志したからには、そのことを肝に銘じて精進しなければと、桜鯛を
           見ながら、自分自信をを戒めているのでしょうか
            この句は、若い頃の作だそうです。
          
 
                 退職の夫を待ちゐる桜鯛      三井孝子
 
                   (たいしょくのつまをまちいるさくらだい   「夫」と書いて「つま」と読みます)
 
            とってもいいご夫婦のようです。
           長い間働いてくれたお父さんに感謝して、奥様が桜鯛を用意している。
           きっとこのご主人も、長い間支えてくれた奥様に、感謝しているでしょう。
           こういう夫婦でありたいですよね。
            この句には、もう一句続きがあります。
                  「花束と帰宅せし夫桜鯛    三井孝子
            退職の花束を、会社の後輩たちから贈られたのでしょう。いい会社にお勤め
           だったのでしょうね。桜鯛が生きています。
          
            いい職場、いい家庭。うらやましいですね。胸にじーんと来る俳句です。
 
          
                                                                                                                               瀬戸内の島々と山桜
 
           上の写真の、左の岬を回った沖合いに、鯛の好漁場があります。
           漁師さんは、鯛の道があると言います。
          200m位の深いところを、群れを作って南の海から瀬戸内に帰って来るそうです。
          その鯛の道に釣り糸を垂れての一本釣り。
 
           最近では、鯛網やはえ縄、魚群探知機や海底の地形のわかるレーダーなど
          技術の進歩は目覚しく、それにより乱獲がたたり、一本釣りはなかなか難しく
          なっているそうです。
 
           では最期に、わたしの句を一句。
 
                   高齢化率日本一の櫻鯛       照れまん
 
 
               
 
 
 
           
 
 
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照れまん君の俳句歳時記 「桜鯛」 への9件のフィードバック

  1. fujim より:

    こりゃあええ鯛が来た。 いつも写真撮りたがるおいちゃんに、 言うチャげんにゃあね。カメラを撮りに帰った? そういうことじゃイケン、 最初からもって出んにゃあ、、。ううーん、とても考えさせられます。  桜鯛一つを前にしても、 「きゃー大きい!」 「おいしそう!」 だけじゃないんですね。自分を振り返り、 己の不甲斐なさにまで思いを馳せて、 いい句が出来ています。こんな季語があるとも知りませんでしたが、 とても季節感、 婚姻色という雰囲気感(?笑)のある季語、 説明を読んで、 どの句もとてもよく分かりました。  減っていく知識が多い中、 貴重な知識が一つ増えました、 ありがとうございます^^。それにしても、 3時のお八つに寄せてもらえたり、 珍しいものには近所のおいちゃんを呼びにいったり、とてもなんというか本当に微笑ましい保育園ですねぇ^^。高齢化率、最近調査があったんですよねぇ。  取り合わせが、 桜鯛それにおじいちゃんですよ、 一本釣りですよ、、、、え~! あの大きな鯛をホントに一本釣りしたの~~!  さすが高齢化率日本一のおじいちゃん、 すごいよ~!

  2. 照れまん より:

         Fujim さん こんばんは
    最初に 桜鯛 の写真をドーンと 大きく載せたかったのですが、自重して小さくしておきました。
    桜鯛 を撮ったカメラは AXIA  I X-130 君でした。
    130万画素なので無理をせず小さいままにしておきました。
     
    桜鯛 って なかなかいい季語でしょう。前話題になった 花筏 もいい季語でしたけどね。
    三井孝子さんの俳句を読んだ時、これ Fujim さんところに似てるんじゃあないかななどと思いましたよ。とってもいい家庭みたいで・・・。
     
    ところで、 D-300 ものすごくいいカメラですね。Fuji お姉様はすぐそばに カメラの師匠がいらっしゃるのだから、いつでも習えるではないですか。
    やっぱりカメラのマニアというのはすごいですね。今でも フィルム と両方を撮っているのですね。う~~ん、さすがー、と思ってしまいました。
    ではまた・・・・。

  3. Pu'uwai より:

    安カメラあなどるなかれ桜鯛
     
    照れまんさん写真に日付が入ってませんね。 
    日付がないだけでフォトはそんなにかわらないのでは、、、、というと逆にプライド傷つく?
    じゃ、腕はどうなんだいになるかな?
    いつも、言うでしょう、腕は1/4だって、、、待てよ、機械が1/2ってことは機械の低質を腕でカバーしてるってことになるね。
     
    山桜の見える海で、桜鯛、、、、、 できた、  山桜花よりさきに桜鯛  山桜って花より先に葉が出るでしょう、
    その葉に乗せて鯛めしを食べるんですよ。 うーんちょっと苦しいかな。 山桜は季語になるの? 季語2つ入っちゃだめですかねぇ?
    こちらでは、興津の鯛が有名なんですが、この鯛は頭がこんと打たれたように丸くなくてへしゃげています。
    美味しい。 鯛1匹丸ごと土鍋で炊いた鯛めしは美味しいねぇ。 底の方が少しこげてお醤油の香りが香ばしくて、
    鯛ののどぼとけの骨が鯛の形をしていてこの骨を持っているとお金が溜まるんですって。
    貰ったけど、ちっともご利益なかったのは出る方が大きかったからかなぁ。

  4. fujim より:

    三井孝子さんの句、二句とも気持が伝わってくるいい句と思います。  どちらかと言うと花束の方が好きです。同じ主婦として二つを並べて考えた時に、先の方に少し作為が感じられるかなぁ~~、 ホンの僅か^^、、そんなに僻んでとっちゃいけませんよね。  ただ次の句が抜群に、 パッと笑顔が浮かぶ、 外とも繋がりパッと開ける、 拡がる、 そんな気がしてとても分かる気がするので、 それに比べると前の句は、、と思ってしまいます。  が、いい句には違いありません。我家をこんなふうに想像してくださってうれしい限りです。  モロこんな感じです、 と言いたいところですが、 少し違って、 莫大、大きなオオチガイです^^。私が 「お帰りなさいませ」 とfujipaを迎えたことが無いことです。  毎日バタバタと、出退勤も同じ車で出かけ、毎日帰りにスーパーに寄って買い物し、、職場も同じ、 退職日も同じ、 花束抱えて二人で帰ってきましたよ^^。  「しかたない、ニギリでも買ってこうか、、」^^です。 でも、どうでしょうか。 ホントに桜鯛を食卓に並べないと気持を表せないものでもないですよね。とこれまた自分に都合のいい解釈ですが^^ そんな気持だけでも桜鯛の季語にはあるように取るのは無理があるでしょうか。さしむき  花束が何より二人の桜鯛 です。  さあこれから好きなことが出来るぞ~と、待ちに待った時間に突入してるわけです。Pu\’uwaiさんとこはきっと、 三つ指付いて あなた、お帰りなさいませ」 とやってたにチガイナイよ、、ウンウン。

  5. fujim より:

    ちょっとまって、次の花束の句があるんですから、前の句も作為は解釈違いですね、ちょっと言葉が悪かったです。訂正してお詫びします。  ではでは^^

  6. 照れまん より:

        Pu`wai さん こんにちはー
    山桜 花よりさきに桜鯛     いいんじゃないでしょうか。面白いですよね。山桜が咲くより先に 桜鯛が取れちゃった というのが愉快ですよ。
    目には青葉山郭公はつ鰹    素堂
     の句も、ものすごい、ごきかぶり。間違いました。季語重なり。でもすごい有名になってますよね。
    青葉とホトトギスと初鰹 の3つとも夏の季語。どの季語を探せばこの句が出て来るのか解らない感じです。
    デモでも、理屈抜きで、面白いし、語呂がいいし、解り易い。理屈がどうだより、やっぱり有名になる句は、意表を付く面白さがありますよね。
     
    鯛の骨を取っておくといいらしいですね。頬の辺りの骨でしょう。
    しまったー、と今頃ゴミ箱を探しても遅いし、残念でした。

  7. Pu'uwai より:

    お二人さん こんばんは
    季語、重複構わないんですね。 ありがとう。
    fuさん、うちの定年の時は、一体、いつが最後だったのか分りませんでした。
    毎日、毎晩のように送別会 花束、花束、花束で花束集のアルバム作りましたよ。
    こんなに人気のあった人だったんだと、本人も私もびっくり。
    三つ指つく間がなかったし、桜鯛用意する間もなかった。 
    それに、おばばと区画整理でへとへとだったしね。 
    人生こんなもんでしょう。
    私が退職した夜、婚約していた夫と最後の食事を新宿で食べたことだけは脳裏に焼きついているよ。
    これで東京の夜も見納めだと思ったからね。 何となく独身最後の夜ってセンチになってね。
    母の胃潰瘍と甲状腺の手術のために、母に頼まれて急遽退職して田舎に帰りました。
    いつも、母に振り回された人生だったなぁ。
     
    できるなら覚めずにおけよ桜鯛    夢のようなあの頃のままでいれたらなぁ~と願うプウバイでした。

  8. 照れまん より:

        Fujim さん こんばんはー
    夫婦というのは、元々別の家庭で別の環境で育ったもの。違う考え方、まったく違う性格をしている2人が、故あって一緒に生活するわけですから、うまくいくはずはありません。
    お互い初めからうまくいくものだ、自分の思いどうりになると思っていたら大間違いですよね。
    お互いに歩み寄るところは歩み寄り、我慢する所は我慢して、一つの家庭を作っていきます。
    だから、うまくいったときの喜びが何倍にもなるわけですよね。子供たちが無事育ち、一人前になってまた家庭を持ち、その家庭もうまくいけば、そんなにいいことはありません。
    どんないい事があるよりも、いい家庭を作ること以上の喜びはありません。
     
    三井孝子さんの句も、おじいちゃんかおばあちゃんがいて、子供が居て、その子に孫が出来ていて、みんながお父さんの退職の祝いに、集まっていると考えるとどうでしょう。
    お父さんの席の前に、桜鯛が一匹ある。7~8人か?それくらいの家族が集まってお祝いをするのを待っている、と考えるととても自然ですよね。
    でも、Fujim さんがおっしゃるように、夫婦二人だけとするとちょっとオーバーです。
    案外と長いこと連れ添うと、ごく自然にいつもどおりの生活をするかもしれませんね。
    私は三井孝子さんがどんな家庭なのかはまったく存じ上げませんが、これは御自分の家庭かも知れませんが、親戚、又は知り合いの家庭かも知れませんね。家族みんなで待っていて、ビールも冷えている。みんなで乾杯をするのを待っていると思うと、櫻鯛が意味を持ってきますよね。2人だけとすると、それはそれで素晴しいですけど・・・。
    俳句というのはあまりにも短すぎて、よく解りません。だから、読み手の解釈の自由が許されています。
    夢のまた夢に覚めけり櫻鯛   の句も、解説が書かれていますが、わたしの解説は違います。
    豊臣秀吉の辞世の句など、まったく書かれていません。私が勝手に書きました。
    だから、作者御本人が読むと怒るかも知れません。
    その時は、ゴメンナサイと、謝るほかはありませんが。
     
    Fujim さんも Pu`wai さんも、とてもいい家庭を お築きだったのではないかと思います。
    わたしのような、結婚してないものが、夫婦論を書くと、それは違うよ、そんなに簡単なもんじゃないよ、とお叱りを受けるかも知れませんけど・・・。
    其処はお許しを頂いて、わたしの願望も交えて ちょっと書いてみました。
     

  9. fujim より:

    AXIA iX-130(95W×66H×30Dmm)は、私が2006年12月まで使っていた 「FinePix2500Z」の次の年に発売されているカメラですね。2500Z(125W×65H×39Dmm)に比べると、一回りコンパクトになっています。  大きくしても立派な鯛に写っていますよ^^。記録画素数は Fine で1280×1024、 ブログには十分ですよね。 でも修理などのサポートが今年の7月末で終了だそうですよ~。壊れるならそれまでに、って、、長く大事に使ってるものをわざわざ壊さなくてもいいか~^^。D70をときどき使ってみてるのですが、 コンパクトカメラに比べてピントがピュっと合わせ易~い、と調子に乗って撮って帰ってPCで大きくしてみると、 ピシッときてないんですよ、 コンパクトN2はバッチリなのに、、。手ぶれと、ゆらゆらなんですよきっと。 なにしろシャッター押すと中で鏡だかなんだかが、 ぱしゃっと上下するんです。私がいくら息を止めてがんばっても動いてるんですよきっと。 ゆらゆらは息を止めてがんばるしかないけど、「手ぶれ補正つきのレンズ」 もあるそうです、助けになると思います。一眼レフを買われるなら、 少し高いらしいですけどゼッタイそちらの方をお勧めしますよ。  照れまんさんは大男、 のはずですから息を止めて狙えば大丈夫かもしれませんが、 いい男だから、お○はあっても力はないかもしれないでしょ^^?自分が撮ってみてなおのこと、 のらさんはじめ皆さんのウデの素晴らしさが分かります。俳句にはその人となりが表れるものとすれば、 その解釈の仕方によって読んだ方のそれも分かるというものですね。今回は願望も交えた^^夫婦論を聞かせていただき、 ともすれば忘れがちになっている大事なことを、あらためて思い起こしました。ありがとう。  節目節目の感謝の仕方は、 各々の家庭によって違ってもくるでしょうが、 表現方法は違ったとしても、根底を流れるものは照れまんさんの言われるとおりだと思います。これからもいろんな俳句に接し、 解釈していくことで少しでも、 自分を高めることができれば、 これからの人生も捨てたものではないぞ^^、 などと思っています。  こんなモタモタ人間ですがこれからもどうぞよろしく~m(^_ゞ)m☆pecon!

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