照れまん君の俳句歳時記 「障子貼る」

障子貼る古い卓球台を出し   照れまん

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昔はどこのお宅でも、よく障子貼りが行われていました。
穴が開くと、そこに桜の形に切った障子紙を貼ったりして応急処置。それらを何年に一度かは全体を新しい障子紙に貼り替えていました。
おそらく障子貼りをしたことのある人は多いと思います。ところが、最近はほとんど見なくなりました。我が家にも、障子紙風のプラスチックで出来た障子紙そっくりな破れない障子紙を貼っている部屋もあります。しかし、居間や客間は障子紙なので、我が家は今でもまだ障子貼りをしています。障子が新しくなると気分も改まり、冬を迎える準備完了です。いつ正月が来ても大丈夫です。

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私が子供の頃、父が障子の貼り替えに新兵器を考えた。
昔の我が家の掃除機は筒状の横長タイプのもので、吸引口と排気口が同じ形の物で、排気口にもパイプが差し込めるようになっていた。排気口にパイプを差し込み、それを少しづつ細くしてビニールパイプを取り付け、その先に霧吹きを付けた。1リットルくらいの水のタンクが付いていて、水が霧のようになって勢いよく吹き付ける。これで、障子に水を噴霧する。それで、水に濡れた障子の端を上手に少し剥し、横に長いビニールパイプを渡し、それに障子の端をくっつけて巻きつけてながらくるくると
全体を剥していく、というもの。これでキレイに剥がれるハズでした。
ところが、何度かやってみたのですが、どうしてもうまく障子が剥がれません。障子紙がくっついたまま破れて、残っている方が多いのです。それで、結局うまくいかないのです。
人間の考えることで、これはいいと思っても実際にやってみるとうまくいかないことが沢山ありますよね。その典型です。父も首をひねって、「うまいこといくはずなんじゃが、おかしいのう!」と言っていたのを思い出します。この方法には欠点がありまして、先に紙を濡らしてしまうと、風呂の焚き付けに使えないのです。乾いた時に剥すと、風呂の焚き付けにしたり焼くことが出来ますが、それが出来ないのです。それで、母からクレームが付きました。濡らすと焼けないのでゴミが増えますよね。それで、結局このやり方は駄目と言うことになりました。残念ですが仕方がありません。エジソンにはなれず、エエソン(損) でした。

そういうことでしたが、障子を剥す時は子供にとってはとても気持ちのいいものです。普段は障子を破ると叱られるのに、この日はぼこぼこ穴をあけてバリバリ剥すのですから気持ちがいいですよね。

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さてさて、俳句にいきますが、「障子貼る」 は秋の季語

この、「障子貼る」の前にもう一つ秋の季語で 「障子洗う」 があります。障子を剥した後、昔は川で洗ったり、井戸の側で洗ったりして、水で糊や汚れを綺麗にしていました。水を使うので暖かいうちに行うので、秋の季語になっています。

     洗ひをる障子の下も藻のなびき     大野林火

この句は、川で障子を洗っている風景。川の中には藻が沢山生えて、それが流れになびいているのです。ほんのちょっと前まではこんな景色はどこでもありました。

     みづうみに四五枚洗ふ障子かな     大峯あきら

大峯あきら氏は現代俳人。1929年奈良生まれ。京大文学部卒。大学教授、哲学者であり僧侶。掲句の「みづうみ」とはどこなのでしょう。関西の俳人なので、何となく琵琶湖のような気はしますが、どうでしょう??

障子を洗って乾かした後は、いよいよ「障子貼る」になります。

     障子貼って月のなき夜のしづかなり      久保田万太郎

     張替へて障子に桟のなきところ        河野静雲

どちらも、いい句ですね。

     障子貼る母の手さばき妻の敵         草間時彦

草間時彦氏、1920~2003年、東京出身。とても面白い句です。お母様がチャキチャキの江戸っ子で手際よく障子を貼替えていくのでしょうか?お嫁さんは手伝いたくても、手出しが出来ないのでしょう。
私の家のことですが、親戚のお祖母さんが法事に来たりすると、すぐに「障子紙はない?」と言い、障子の破れを修復し始めます。法事に来たんだからのんびりしてくれればいいのに・・・。勤勉と言うか几帳面できっちりしているというか、我慢できないというよりもしたくなってしまうのでしょうね。ちょっとした時間でやって仕舞います。親戚なので感謝してそれで終わりですが、草間氏のお宅は、嫁姑の関係なので余計厄介なのでしょうね。

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「絶滅寸前季語辞典」夏井いつき著、に 「障子貼る」 が載っているようです。日本ではもうほとんど行われなくなったということなのでしょう。インターネットで見付けたサイトより、この本の中から一句紹介します。

     ひかりを広げ光を伸ばし障子貼る    夏井いつき

私はこの本は読んだことがないのですが、戦後日本は生活習慣ががらりと変わってしまったので、使われなくなった言葉も沢山あるのでしょう。いつか、読んでみたいですね。
ところで、夏井氏の句を読んだ時、次の句が頭の中に思い浮かびました。
「白葱のひかりの棒をいま刻む   黒田杏子」 夏井氏は黒田氏のお弟子さんのようなので、もしかしたら、この句が頭の中に浮かんでおられたのかも知れませんね。

もう一句。

     使ふ部屋使はざる部屋障子貼る    大橋敦子

障子貼る」 の次は、「障子襖を入れる」と言うことになりますが、これも秋の季語です。傍題に「障子入るる」・「襖入るる」があります。

それから、ただ単に 「障子」 という季語もありますので注意です。皆様は「障子」だけだったら季節はいつだと思われますか。私は現代風に考えると、何となく「夏の季語」 のような気がするのですが、これが不思議なことに 「障子」 だけだったら、「冬の季語」 なんです。何で?どうして?と思うかもしれませんが冬なのです。昔は夏には障子を外して物置に仕舞い、簾や衝立のようなもので外と遮っていたようです。それで、秋に物置から出し、新しく貼り替えて冬を迎えた。それで、「障子」は冬の季語。今では夏に障子を外すことはないので、少し違和感はありますが、冬の季語 だと納得させています。

  声符は ショウ  ふせぐ、聖所をまもる、へだてる、ついたて

障子(しょうじ)  元々の意味は、襖・衝立・屏風・障子など、部屋を仕切ったり視界を遮るものなど建具の総称。平安時代末に採光がもたらされる「明障子」あかりしょうじ が発明される。これは画期的なものだったようで、部屋が明るくなるので後に流行っていったようです。中世以降、明障子を障子と呼ぶようになり、現在に至っているそうです。

ここでちょっと、関係はありませんが、障子が写っているので夏座敷の写真を載せてみます。

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現在は夏だからと言って、障子を外すことはないですよね。

ところで、私が以前書いた記事の中に 「夏座敷」 があります。この記事が何故か、見に来てくれる人が一番多いのです。毎週、僅かながら数人なんですけど来て下さるので、累積では一番多いようです。

「夏座敷」  ←  もし、よろしかったらご覧下さい。

★      ★

障子にも色々なタイプがあり、その中の一つに、「雪見障子」があります。下の部分を上にスライドさせると、ガラスの部分があり座ったまま雪を見ることが出来るようになっています。座ったままで雪が見られるって、風情がありますよね。ガラスがあるので寒くならない優れものです。
下の写真が雪見障子。

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雪見障子ですが、上の写真と次の下の写真の物とは違います。
下の写真は、ガラスと障子が二重になってないので、ずーと下の部分は透明なガラスのままです。これも、雪見障子と言うのでしょうか?別の名前があるのでしょうか?

下の写真は  「障子入るる」 。障子を貼り終えて、立てたところ。

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     障子貼り了へて夕日を撥ね返す     照れまん

障子って、本当に日本的な建具ですね。この紙一枚で内と外が仕切られているなんて、考えられません。紙は指ですぐに穴が開くので覗くことがことが出来ますし、蹴れば壊れてしまいます。昔は防犯が良かったと言うか、モラルが良かったのでしょうね。悪いことをする人が少なかったというか、日本ではそれが当然だったのでしょう。素晴らしい国民ですよね。
しかし、現在ではそれが日本人の弱点になっていて、外国に行った時、日本人は相手がみんな親切だと思い込んでいるので、それが思う壺だとか・・・。ひったくりや泥棒に頻繁に会い、命を取られることもあります。日本人はお金を持っているし、警戒心が無いので狙い目だというのですから困ったものです。外国に行ったら気を付けましょう。
ついでに、最近は日本国内でも凶悪犯罪が多発していますので、くれぐれも戸締りにはお気を付け下さい。

そういうことで、今回は 秋の季語 「障子貼る」 を載せてみました。
冬の季語「障子」 は又の機会に載せてみたいと思います。ではまた・・・・。

◆      ◆      ◆

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照れまん君の俳句歳時記 「障子貼る」 への10件のフィードバック

  1. medaka4841 より:

    そっか 障子は秋にするものだったのか・・・。寒くて雪がちらつく中を家の前の農業用水で洗いましたよ。子供の仕事でした。しもやけの手が真っ赤に腫れて 痛いし痒いし最も嫌いな仕事でした。
     雪見障子は実家にはありません、嫌ほど積もった雪なんぞ見たくもなかったから。
     冬場は縁側の雨戸も雪の日は立てたままでしたよ。そうしないと雪が降り込んでくるもの。
    お正月は雪の日も多かったです。ホワイトクリスマスも暖かい家の中なら風情ありますね。今日の金閣寺の薄化粧のようなものです。でも 外に出ようという気には絶対なれなかったな。
     あっ、 でも雪の中の露天風呂は最高です。

    • 照れまん より:

      medaka さん こんにちはー
      我が家の障子貼りは季節に関係なく、親がやると言った時やっていた感じです。
      それで、子供の頃は 夏にやっていたような気がします。剥がすのだけ手伝っていました。
      桟は意外に弱いので 子供がゴシゴシこすると 折れますからね。
      medaka さんちは 冬にやっていたのですね。おしんの世界ですよ。
      昔は 冬でも川で洗濯をしていたり、今では 考えられないですよね。
      雪の多い地方の人は、本当に大変でしょう。根性つきますね。
      露天風呂に入るって 雪模様だったら 上がってから すぐ風邪を引きませんか。
      私なら すぐに風邪ひきですよ~~。

  2. saganhama より:

    (^o^)ノ < おはよーございます。
    障子戸、見なくなりましたね。我が家にも1枚もありません。相方の実家へ行った時に張替えをしたことが有りますが、その作業が終わった後の気持ちよさはなんとも言えないですね。
    障子貼るの季語が秋で、障子が冬っていうのは何となく分かるような気がします。暖かくなったら外して、寒くなる前に防寒対策で取り付けるんだと遠い昔に聞いた事があるので。。
    今の時期子供の頃、川面に並んでる障子戸を見て、もうすぐお正月って気分になってましたよ。
    今は二重ガラス、サッシ等という物があって防音、断熱効果をうたってますが、障子に縁側、雨戸っていう組み合わせはそのルーツだと思いますよ。

    それにしても、照れまんさんのお宅は手入れの行き届いたお家ですね。純日本風の家屋の維持管理は大変でしょう!?

    鍵も掛けずに家をあけるというのは田舎のほうが今はより危険だそうですよ。その様な地方の家を狙った空き巣が多いそうですから。今言われてる日本人の危機感の無さは長い間の生活習慣から生まれたものでしょうから、安全に対してはコストが必要という気持ちに成れるようになるには、まだまだ時間が掛かるでしょうね。

  3. 照れまん より:

    saganhama さんこんにちはー
    ハマさんの 子供の頃もやっぱり川で 障子を洗っていましたか。
    障子って いつの間にか黄ばんでいるので、新しくすると ホント白くて気持ちがいいですね。
    正月の準備 OK って言う感じです。
    小太郎さんの所はあばら家 らしいですが、我が家は あずまや ですから。
       「七重八重洟をかめども山からの身に隙間風入るる悲しさ 」
    ってな感じです。

    私の島は 橋が架かって、犯罪が増えまして、鍵を掛けて下さい と言う運動がありました。
    最近、蜜柑がごっそり盗まれるということもありまして、倉庫にも鍵を掛けて下さいなどと書かれています。
    便利になるってことは 泥棒さんにも 便利になったということですね。

  4. haw小太郎 より:

    こんばんは^^。
    君んちの障子貼りは大変でしょうね~@@
    これ、全部DANちゃんの仕事なんでしょうか!?
    私も障子貼りと網戸の張替えは上手ですよ~!?
    卓球台もあったんだね?知らんかったけど・・そこで卓球した記憶はないな~。。
    ゴインギョさんのエピソードは面白いよ^^。
    いつも物静かで真面目一本って感じだったけどね。
    そういえば昨日和佐で菊戴の群れを見ましたよ!
    きっと君んちの裏山にもいると思うので歩いて見てください^@^

  5. 照れまん より:

    小太郎さん こんにちはー
    私は何もせず ただただ見ているだけです。 詰まらん坊です。
    ありゃりゃ、詰まらん坊を パソコンで書くと、 妻乱暴 と出て来たよ!これは イカガ なものか??
    君は 網戸の張替や障子の張り替えが出来るのなら、大したもんですよ!
    親父は 死ぬまで勉強していたけど、息子は 似ないもんだねえ。わたしゃあ、勉強はしたことがない。

    菊戴 いいねえ! 一度撮ってみたいけど、2メートル は近づけんでしょう。
    420mm   って、 300じゃあ いかんの 十分なような気がしますが・・・・???
    大患巨砲主義。 もしもし、 大艦巨砲!!倍率は高いほど、いいのはいいよね。

    除夜の鐘の頃 我が家に来ると  若者が卓球をしているよ。たぶん・・・・??

  6. 蝶調 より:

    照れまんさん、久しぶりでのぞきました。障子の句は面白いですね。
    我が家では今でも障子張りは私の仕事です。
    お父様が難儀されたようにきれいに剥がすところは難しいです。
    最近の障子紙は糊がいらないでアイロンで押えてくっつけるものがあります。確かに簡単です。
    我が家では秋に張り替えるとは限りません。私の気が向いたときか大事なお客様が来られる時ではないでしょうか。雪見障子の所でガラスの入った障子のことをなんと言うかと書かれていますが総称ではガラス障子と言いますがガラスがどこに入っているかによって呼び方があるようです。ちょっと調べてみたのでアドレスを書いておきます。ゆっくり読んでみてください。
    http://w-wallet.com/page613.html

    ではまた。

    • 照れまん より:

      蝶調さん こんにちはー
      お久しぶりで 御座います。いやいや~、おなつかしや~!!
      オタクもまだ 障子貼りをしていますか。じゃあ、まだ絶滅ではないですね。
      絶滅寸前季語辞典に載っているようですが、まだまだ 我が家とお宅と少なくとも二軒は 滅んでいませんね。
      我が家も 父がするという時していたので、夏が多かったような。盆の前にお客様が来られるので 張り替えていたような・・・・。
      それで、私はてっきり 障子は 夏かと思ったり・・・・。大笑いです★
      リンクありがとうございます。ぴったり同じ形のものが無いでしょう???
      腰つきガラス障子 とでもいうのでしょうか???

  7. fujim より:

    ウチの障子は蝶調さんのリンクによると「大荒間障子」とでもいうのでしょうか。 南向きの1間半のガラス窓の内側に、2枚の障子が入れてあります。 それぞれ上下2段になっていて、上の部分を下に滑らせることができるようになっています。 「雪見障子」ならぬ「月見障子」? というより、積もった雪ではなく「降ってる雪見障子」かな?  実際には窓のそばが道路なので、障子下半分が目隠しとしての役割が大です。
    道路の方が1間ばっかり低いので、通る人を見下ろすような形となるので、障子を開けることはほとんどありません、引き下ろして光を取り込むだけです。
    障子貼りも襖貼りも何度かしてますので、卓球台を出したくなる気持ちも、夕日を撥ね返す清々しさ感もよ~く分かりますよぉ! お~し、来年はがんばって張り替えてみるか。

    ・・・・などとここで試し書きさせてもらってますが、切り替えがうまくいかず、ブログを離れて落ちてしまったテンションをなかなか上げられませーーん。。。。。

  8. 照れまん より:

    fujimさん こんにちはー
    風邪引きさんは 少しはよくなられましたか。
    一年の大仕事の プロモーションビデオ の作成に 大わらわでしょうか?
    小さい子供がいないと、障子は破れることが無いので、張り替える必要が無いですよね。
    fujimさん ちのは なかなか洒落ているお家ですね。障子にも凝ってる。
    色が悪くなってきたら、張り替えですけど、当分大丈夫じゃないですか??
    こちらは、マイペースでやっています。
    そちらは 暫くのんびりされて、ゆっくり充電して下さい。

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